魑魅魍魎の菊
「えっ…。でもさ、萩原くんもメールでお呼出されたんでしょう?」
井上は萩原を見上げながら言う。ハッハハ…美鈴ちゃんに告げ口してやろうか。
「……べ、別に…」
「えぇー!!萩原君もー?!本当、モテる男って嫌よね!」
と、由衣が頬を膨らまして怒っていた瞬間。ふと赤いスリッパ集団の中に青いスリッパが視界の隅に見えた——…
「あっ、玖珂君達おはよー」
何やら大きな紙袋を抱えた高村菊花が登場した。勿論、知らない由衣は首を傾げている。
「おはようございます菊花先輩!」
「おはよう穂積君!今日も素敵だね!」
菊花は俺に荷物を押しつけながら、あろうことか井上に抱きついていた。
このクソアマ…俺に荷物を押し付けるなっつうの…。
「…このクソアマ…!朝っぱらから何なんだ!」
「もうっ!玖珂君ったら嫉妬〜?」
「はっ…?」
「あ"っ…?」
「んっ…?」
上から正影、龍星、穂積の順番で声が上がる。
「あ、あの…そんな微妙な間を開けないで。菊花さん泣きそうだから」
「あ"ぁん?馬鹿言うんじゃねぇよ」
どうしてそういう酷い辛辣の言葉を言うのかな?!
そして、視線を感じたのでふと横を見れば…
(美少女来タ———!!!)
後光の光が見えてしまったぜ!