魑魅魍魎の菊
「え、えっと……」
美少女に声をかけられてので、ハッとした私はすかさず自己紹介をした。
「私は2-Aの高村 菊花。よろしくね?」
「は、はい!あたしは1-Bの松野 由衣です!」
元気に挨拶をしてくれる美少女に好感を抱きつつ、私は咄嗟に玖珂君から荷物を奪った。
(うぉい!何なんだよ菊花!)
(別に良いじゃないの!)
「で、何なんだよこの荷物は?」
「あー。京都に行って来たからみんなにお土産買って来たの」
"京都"という単語に思い思いに反応する少年少女。
(((テメェ/先輩、滅されないのか??!!)))
(キャアー!晴明様ァァ!!)
とま…。大声で菊花の事情を叫べない三人は冷や汗をかきながら押し黙る。
「うん色んなお土産買って来て小分けにしたんだよねー」
私はそう言いながら、玖珂君、萩原君(+美鈴)、穂積君に小分けにした紙袋を渡す。
まぁ…なんだ。みんなには何だかんだ言ってお世話になっているからね。
「ほぉ…。チョコレート味の生八つ橋か」
「ちょっと冒険したくなっちゃってね。美味しかったよ?」
私は玖珂君に笑いながら、「色々と迷惑かけているから」と苦笑した。
…魑魅魍魎の主が京都に足を運ばせるのも可笑しな話だけれど。まぁ…口寄せされたから、旅行がてらに行ってきました古き良き京都に。
「あっ!晴明神社のお守りだ!」
「フフッ、穂積君の言う通り。みんなにお守り買って来たから」
((…よく滅されなかったな))
と、冷や汗をかく正影と龍星であったのだ。
「せせせ、先輩晴明神社に行ったんですか?!」
由衣ちゃんが物凄い気迫で私の手を握って来た…。い、いや…美少女に迫られて悪い気はしないけど…
玖珂君の視線が痛いデス。