魑魅魍魎の菊



「え、えっと……」

美少女に声をかけられてので、ハッとした私はすかさず自己紹介をした。


「私は2-Aの高村 菊花。よろしくね?」

「は、はい!あたしは1-Bの松野 由衣です!」


元気に挨拶をしてくれる美少女に好感を抱きつつ、私は咄嗟に玖珂君から荷物を奪った。


(うぉい!何なんだよ菊花!)

(別に良いじゃないの!)



「で、何なんだよこの荷物は?」

「あー。京都に行って来たからみんなにお土産買って来たの」


"京都"という単語に思い思いに反応する少年少女。



(((テメェ/先輩、滅されないのか??!!)))

(キャアー!晴明様ァァ!!)



とま…。大声で菊花の事情を叫べない三人は冷や汗をかきながら押し黙る。




「うん色んなお土産買って来て小分けにしたんだよねー」


私はそう言いながら、玖珂君、萩原君(+美鈴)、穂積君に小分けにした紙袋を渡す。

まぁ…なんだ。みんなには何だかんだ言ってお世話になっているからね。



「ほぉ…。チョコレート味の生八つ橋か」

「ちょっと冒険したくなっちゃってね。美味しかったよ?」


私は玖珂君に笑いながら、「色々と迷惑かけているから」と苦笑した。

…魑魅魍魎の主が京都に足を運ばせるのも可笑しな話だけれど。まぁ…口寄せされたから、旅行がてらに行ってきました古き良き京都に。



「あっ!晴明神社のお守りだ!」

「フフッ、穂積君の言う通り。みんなにお守り買って来たから」



((…よく滅されなかったな))


と、冷や汗をかく正影と龍星であったのだ。




「せせせ、先輩晴明神社に行ったんですか?!」


由衣ちゃんが物凄い気迫で私の手を握って来た…。い、いや…美少女に迫られて悪い気はしないけど…



玖珂君の視線が痛いデス。

 
< 223 / 401 >

この作品をシェア

pagetop