魑魅魍魎の菊



「話したの初めてね」

綾崎さんは華麗にボールを掴みながら答えてくれた。

「は、はい…」


「球技大会で1-Fのドッドボール試合に突っ込んで行ったのを見たときから」








——ズゴォォン!!!




「ちょ、ちょっと高村さん?!」


あ、頭の周りでヒヨコさんとお星様が仲良くしてるよ。思わず私はボールを掴もうとしたら、テニスコートにのめり込むように転けた。

遠くから「菊花のドジっ娘〜!」という栄子のお茶らけた笑い声が…。


(うおぉい!お前等友達なら労れよ!)



「い、いえ……大丈夫ッス…」

「…まぁ、今みたいな感じで突っ込んでいたのを知って、調べたら高村さんだったわけよ」

「は、はぁ…」



いやはや…。まさかあの迷シーンをまたここで掘り出されるとは思いも寄らなかったよ。

それから幾度か会話を交わすと、玖珂君とよく口喧嘩をしていることから情報を得たらしい。



(あ、アレレ…私"陰"になるって決めたのになー?)


入学した時に決めた誓いが今にも崩れそうになってるし…。目立つの嫌いなのにな…。




「集合!」


という声があったので、先生の元へ集合していくと…。やはり綾崎さんの周りにはキラキラして綺麗で可愛い女の子達が集い初めていた。

いやはや…類は友を呼ぶとは素晴らしい言葉だな。あんなにレベルの高い女の子が集うのだからな。



(菊花ー。膝から血出てるよ?)

(あぁ…舐めときゃ治る)

(いつの時代の人よそれ)


 
< 227 / 401 >

この作品をシェア

pagetop