魑魅魍魎の菊
「あぁーヤダヤダ」
菊花は正影を横にスライドさせ、色みを持たない瞳で全てを見渡したのだ。地味めな参戦者に全員眉を潜める。
そして、どうやら互いに顔を知らないらしい。
「何、アンタ——…」
友人Bは低い声を出す。
「そういうの止めたら?嫌のよねー、女子高生というか学生の女の子の純粋ぶって"正当化"しているのとかさ。そういうの逆手に取って、相手に罪悪感持たそうとしても、
——自滅するだけよ」
「調子に乗らないでよ!はぁ?何様なんですかアンタ」
「そうよそうよ!馬鹿じゃないの〜?"純粋"?説教ぶるんじゃないって」
小さく肩を竦める菊花に一瞬だけ体の震えを感じた正影。
(これ、ヤバい状況だな…)
「ていうか、友達二人引き連れて告白とか有り得ないんですけど?主張してんの、貴方達二人じゃん。そんなに玖珂君の事好きなの?」
「「う"っ…!!」」
((((図星かよ…))))
(た、大変だよ…!)
ニヤリと笑う菊花にまたもや、良い予感のしない正影。この女は浅はかに見るとどうやら痛い目に遭うらしいな…