魑魅魍魎の菊
ヒロイン参上、惨状、惨劇?
「高村さんの言う通りよ!!」
ん、んぅ?
突如、頭上から声がしたので全員でその場所を見れば——…
木の枝の上に座っていた綾崎さんだった!!??
「「「あ、綾崎?!」」」
「ちょっ、綾崎さん?!」
「つーか、誰だ」
(萩っち、イノッチ…あの人は?)
(知らネェよ、あんな美人)
(…ぼ、僕も知らないな…)
ていうか、どうして綾崎さん木の上にいらっしゃるんでしょうか…?私と二年女子は顔を引き攣らせながら綾崎さんを見つめるのだ。
「とぉうっ!!!」
「あ、綾崎さん??!!」
なななな、何と飛び降りたァァ!!!
そして、「とぉうっ!!」とか似合わないから!
(って!!——明らかに危ない着地するし!)
綾崎さんの美しいおみ足が地面に着く直前に、菊花は身を呈して受け止めたのだった。……しかもスライディングでだ。
「——…おめーら馬鹿か」
「玖珂君!私は馬鹿でも、綾崎さんは馬鹿じゃないから!」
正影はまた「面倒な奴が出て来た…」と頭を抱えるのだった。おいおい、コイツも特殊能力持つ奴だったらぶっ殺すぞ菊花…。
「大体、貴方達…玖珂君じゃなくて萩原君のことが好きなんでしょう?」
(俺かよっ!!!)
綾崎の言葉で友人ABは顔を更に真っ赤にさせて、拳をわなわなと震わしている。
「これじゃあ、玖珂君を呼び出して集団リンチのようなものじゃない」
い、いや…俺そんな柔ではないので。と心の中でツッコミを入れる正影は未だに倒れている菊花を抱き起こす。