魑魅魍魎の菊
「きゃあぁぁぁああああ!!!!」
突如現れた大蛇に悲鳴を上げる綾崎さん。そして、狂ったように暴れ出す大蛇…。
「我が名は玖珂正影!!この地に光の力を解放せよ!!」
正影は懐から咄嗟に札を取り出して、結界を張るのだ。蛇は身を捩りながら校舎や裏庭をぐちゃぐちゃに破壊する——…
(チッ…。人間が相手かよ、)
先ほどの3人の女子は気を失うように倒れているのだ。
そして、こちらに突進してきた瞬間!!
「四精霊を司る精霊師の名の下に!!《地の精霊・ノーム》!!」
と、左手を翳した井上が参戦してきたのだ。左手に装着されているブレスレットが光り出して、目の前に土の壁が現れる!
「い、井上っ…」
「——僕は守り専門だけどね?」
へらりと笑う顔、瞳には迷いなど無かった。大蛇は土の壁に妨げられ、大きく呻く。
「この壁は鉄よりも固い!鉄壁だ!!」
魂を持つ力に誰も抗えない、そういうのも面白い。菊花は背後に「アヤサキ」という先輩を移動させる。
『死ネ——!!オ前ガ居ルセイダ、殺シテクレル——!!』
巨大な尾が穂積目掛けて攻撃を仕掛けようとすると、
「歯ァ、食いしばれ井上!!!」
龍星が咄嗟に飛び込んで、穂積を抱えて避けたのだ!
「——……玖珂、俺ァ何したら良い」
「…蛇、恐くねぇのかよ」
「——…バカヤロー、めっちゃ恐いぞ」
龍星の背筋に嫌な汗が一筋流れるのだった。
(だが、俺だけ動かないのも格好つうかねぇだろう)