魑魅魍魎の菊


「ぎゃ、逆ハー…」

(やっぱり…教育に良い本を買おう、)


そう心に強く決めた龍星。



「ていうかスザクさん!美鈴じゃなくて、私を"大人の女"にしてください!」


「あ"ぁ?!」



——ギシギシギシギシッ!!



「痛い痛い痛い…!」

叫ぶ菊花の頭を鷲掴みにしながら正影は力を強める。スザクは意図を知ってか知らずは豪快に笑うのだ。



「く、玖珂君の愛がハードすぎて体がた、堪えれないよ!!」

「馬鹿言ってるんじゃネェぞ、この馬鹿が。お前阿呆ですか、スザクなんぞより俺の方が良い男だろう」

「お言葉だが、俺は何年生きていると思っているんだ」


そのまま菊花はホールドされながら、何故か後ろから抱きしめられてるし!つか、なんでこんな状況になってるんですかジェイソン!!!




「玖珂君、君からの愛は痛いよ重いよ鎖みたいだよ」

「あ"ぁ?羽根のように軽やかだコノヤロー」

「何処ら辺が?!」



美鈴は口元を緩めながら、龍星の首に手を回す。自分の大好きな人が傍から離れていくのは考えたく無い…。


誰も消えて欲しくない。



自分を一人ぼっちにしないで欲しい。貴方は私を照らす光のような気がするのだ。二度と戻らないであろう、この一瞬を私は何百年、何千年経っても忘れないだろう。


——貴方が大切で大好きで、離したくないよ。忘れてないように、思い出さなくても良いようにこの胸に焼き付けて欲しい。




(……ずっと、ずっとずっと…リュウセイが死んでしまっても貴方は特別だから)


永い時を随分と暗い闇の中で過ごした——…

貴方が私を忘れてしまっても、それでも大切で特別なんです。




「——リュウセイ、大好き!」

「あぁ…。俺も大好きだ」


柵も悲しみも貴方が取り払ってくれたんだ。


 
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