魑魅魍魎の菊
「ていうか、何で俺等口寄せされたわけ?」
「おめー、幽霊か」
「張り倒すぞゴラァアア!」
三人と一匹(?)はそれぞれに食べ物を携えて、縁日を練り歩いている。
「何だか…神社とか玖珂くんって…"物の怪"関係だとしか思えないよ」
案外失礼だぞ井上よ。そして、綿飴がラブリーアイテムになっていて周りのお姉さん達にキャーキャー言われているな…
(美鈴ちゃんは人攫いに遭いそうだが…萩原とちゃんと手を繋いでいるか)
「——冗談はここまでにしてだ。お前等に手伝ってもらいたい事があんだよ」
*
切り引き裂かれた闇が渦巻く、そして月が妖しくて人すら壊してしまいそうだ。
正影達が足を運ばせた場所は——
夥しい数の蝶と蛍が舞っていた。そして、月光のお陰かその蝶「アオスジアゲハ」の羽根を幻想的に反射させる。
「やぁ、久しぶりですね。——《玖珂の若頭》」
蝶の面を被った、心地良いアルトの声が聞こえた。ここは神社の裏庭で「その人」は自分を狙って下さいと言っているように、悠々とそこに座っているだけだった。
背後で萩原達の息を呑む声が聞こえる。
(…その余裕が裏目に出るぞ、大槻)