魑魅魍魎の菊



刀を収めた私は力が抜けるように、地面に座り込んだ。竹の香りがとても心地居よ。

夏の虫達の声が涼やかで愛おしい。



神の居場所というのは、こんな楽園だったのか。



(さてさて、作戦の確認をしましょーか)

私は懐から《大槻神社》の見取り図を取り出して、月光を頼りにして見つめるのだ。


関係のない妖怪は土地神の領域に入れないから、余計な邪魔は入らないとして…


どうして私が入れたかって?まぁまぁ、セニョリータそれは後で良いじゃないか。


とにかくこの《大槻神社》は昔から玖珂家に庇護されてきた土地神のようだ。最も古くからの絆らしいくて、それなりに権威があるらしい。



確か「厄払い」の神様だ。私にとったら天敵だろうけど、こっちだって事情があるから仕様がないのだ。
そうだそうだ、そう割り切らないと私だってやってられない。



(……でもま、陣形を崩すとしたら。












——弱り切った権威ある神様からでしょ)






またもや厭らしい笑みを浮かべた菊花は見取り図を空にも翳して見、これから「玖珂の物」がどうやって足掻いて演出してくれるのか楽しみで仕方無い。


与えられた短い人生ぐらい、楽しませてよ。有意義なものにさせてよ。




「アハハハアアアッ!!!!」




——ねぇ、玖珂君?


 
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