魑魅魍魎の菊


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そこで般若は笑っていた。
いや、この表現には語弊があるだろう。


嫉妬に狂った女の成り果てた姿に誰が情など抱こうか。








関係のない物の怪がこの地に入れた理由は、神の体の一部を持っていたからだ。美納は大層美しい髪を持っており、それはそれは美しい男だったよ。

愛想が良くて、笑顔が素敵な温かい神だった。






「……一体、何が目的だ」

「黙秘権を行使しますよ」


魑魅魍魎の主と対峙をし、自分の力を放出するのだ。この際、自分の罪など関係ない。身勝手だが、この女だけは許せない。

この地を穢し、のうのうと生きているから憎い。醜い、憎悪すらする。





「——だけど、」



(——笑い声を上げる女、)




「教えて上げる、」



(——狂気じみた、殺戮が)




菊花は刀を投げ捨て、一気に入り身をし。幾分身長の高い大槻の手首を掴んで押し倒すのだ。



「お、おのれ——!!」



一心不乱に大槻は暴れながら小刀で、









女の左腕を刺したのだった。



(後悔の念など抱かないさ)


 
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