魑魅魍魎の菊
「っ……!! な、何だと?!」
女の腕からは明らかに生温かい血が流れ出している。それなのに、ビクともしない四肢。
私はまた恐ろしくなった。
ヒヤリと背筋が冷たい。妖怪にしろ何にしろ、痛みは感じるはずなのに——…!!
「 逃げるな 」
目を背けるな、全てを研ぎすまして意識をしろ。
「罪はいつまでも、重く背負え」
下ろせると思うな。罪深いことをしたんだ。
菊花の髪がまた伸びる。体が神の生気に犯されるので、反抗しようと妖力を流し込むのだ。
自分を赦そうとも、壊そうとも思わない。ただ、
ただ、光を見たかっただけなの。
(……もう、誰にも邪魔させない)
「都合の良い事ばかりを、考えるなよ」