魑魅魍魎の菊



「っ……!! な、何だと?!」



女の腕からは明らかに生温かい血が流れ出している。それなのに、ビクともしない四肢。




私はまた恐ろしくなった。
ヒヤリと背筋が冷たい。妖怪にしろ何にしろ、痛みは感じるはずなのに——…!!









「 逃げるな 」








目を背けるな、全てを研ぎすまして意識をしろ。










「罪はいつまでも、重く背負え」



下ろせると思うな。罪深いことをしたんだ。

菊花の髪がまた伸びる。体が神の生気に犯されるので、反抗しようと妖力を流し込むのだ。



自分を赦そうとも、壊そうとも思わない。ただ、




ただ、光を見たかっただけなの。





(……もう、誰にも邪魔させない)





「都合の良い事ばかりを、考えるなよ」

 
 
< 297 / 401 >

この作品をシェア

pagetop