魑魅魍魎の菊
丑三つ時の誓い
——それは、とても美しい蝶のような儚さだった。
笑いかけられれば、お天道様みたいで嬉しかったのです。一点の曇りないその笑顔は全ての生命の活力とさえ感じた。
そんな貴女は「蝶」になってしまったのね。
(——嗚呼、愚かな私が悪いのです)
この身が朽ちてしまって消えるのは構いません、だけど私の為に消えてしまった貴女が神とやらに裁かれるのなど見るに堪えれませんよ。
*
遥か——何百年前に一人の青年が居ました。
大層綺麗な出で立ちをしていたそうで中々良い男らしいのです。
名は「瑠璃丸」といい、それはそれは「青」が似合う男で村の娘から慕われていたそうだ。
さて、この地には厄払いの神「大槻」という大層立派な神がいらっしゃるのだ。誰もが敬い、綺麗な社まである。
その神様も麗しい容姿をなさっているという言い伝えが残されており、人々に
愛された神様でした。
「——…お、っかあ…?」
だが、神様がいるからといってみんながみんな幸せになるとは限りません。ある日突然、瑠璃丸の母親は病に倒れてしまったのです!
あんなに元気に働いていて、美人で誰からも慕われていた母が!!
それは…瑠璃丸の家族にとって大打撃でした。
まるで雷が落ちたかのように——