魑魅魍魎の菊
そして、立て続けに瑠璃丸以外の家族が病に倒れたのだった。
『——瑠璃丸様、御可哀想に!!』
『母君が亡くなられて…さぞ大変でしょうに、私で良かったら——』
『嗚呼、瑠璃丸様——』
この時ばかりは、慕ってくれる娘や村の者が憎くて仕方無かった。哀愁を帯びた目で、潤んだ瞳で私を見つめれば堕ちるとでも思うのか。
そんな目で、
(——そんな目で私を見るな!)
死んでしまおうかと思った。死ねるなら死にたかったさ。
瑠璃丸はいつの間にか木偶の坊のようになってしまった、瞳は色を失い、懸命に仕事を頑張る男であったのに…
そして、何かに縋る思いで瑠璃丸は「大槻」の神の元へといつも足を運ばせていた。あまりにも色を失った世界でここの社だけは美しく見えた。
——あぁ、空の青ささえ憎い。
太陽さえ冷たく感じる、崩れて行くこの世界に何を見出せば良いのだ。満たされない心を誰かいっそ壊して欲しい。
と、瑠璃丸が思いに耽っていると——
目の前に澄んだ青の瞳を持った女がいたのだ。
(——魔物、か)
「あら、驚かないの?」