魑魅魍魎の菊
「…お、大槻様っ…」
『——ごめんなさい瑠璃丸。私は貴方のことが今でも忘れないの』
(だから、"一緒"に戦いましょう)
瞳を開いてみれば——
「ぎゃぁああああああ!!離せ、離せ離せぇぇええええ!」
魑魅魍魎の主に覆うように群がるアオスジアゲハと——自分の髪の毛が竹林に巻き付く。
それを利用してなのか、正影達が魑魅魍魎の主の首や体を縛り上げるのだ。蓬莱は神の力を物の怪に流し込んで、徐々に体力を奪わせる。
「反実の世界よ、この物の怪の周りを歪めさせろ!!」
スザクは菊花の周りに結界を張り、時空の歪みを作り——
玖珂の物が一斉に菊花に攻撃を仕向た。以前私の頭上には何故か大槻様が天女のように浮かんで——
(——さあ、悪を滅ぼす礎となろう)
そう呟かれると、私は一気に駆け抜けて懐に入れていた短剣をまた取り出して——
宙高く飛び上がったのだ!そして、蛇の物の怪——いや魑魅魍魎に向かって集中し、意識を高めるのだ。大丈夫だ、私には大槻様が付いているのだ。
これが懺悔とは思わないが、私は桜のようになるのだ——
「『——この大槻の地に佇む蟒蛇よ、退散しろ!!!』」
そして、正影、龍星、穂積は互いに集中し——
「「「消し飛べぇぇえええ!!!」」」
永久に語られるかどうかも解らぬ醜い魑魅魍魎の主「菊花」は禍々しい叫び声を上げ、
——跡形もなくなってしまった。
(——まだ、安心するな——)