魑魅魍魎の菊
主様
***
この感情は——いつまで経っても平行線で交わることなんて無いのだ。
(——やった、)
正影は急に力が抜け、地に膝をついた。安堵が広がるのだが——何故こんなにも焦燥感に駆られるんだ。
「大槻、やったじゃねぇか」
取りあえず正影は大槻に労いの言葉を掛けるが——何故か挙動不審になっている。何をしているんだあの馬鹿。
「どうしたんですか大槻さん?」
井上も本当は顔面蒼白なのに…なのに、自分を落ち着かせようと大槻に声をかけるのだ。
「——なんでも、ない…」
相変わらずさんざめく竹林。だが、——その向こう側で縁日のお囃子が聞こえたのだ。何故だが、やっと現実に戻って来たような気がしたのだ。
「——萩原、」
萩原は呆然と立ち尽くしながら、蛇の姿の美鈴を見つめた。
(何故何故何故何故——…)
高村側の物の怪は全員跡形も無く消えたのに、何故美鈴だげがここに残っているのだ——。
そんな疑問をよそに大蛇の首からはまたもや血が流れ、蝶の残骸が血でべっとりとついている。
「お、おいっ!白い蛇!美鈴を治療してくれよ!」
俺は縋るような思いで蓬莱に頼んだ。もう——何だってする。もう美鈴の笑顔が見えないほうが嫌なんだ。
「黙れ小僧」
そこに響いたのは、何故か狐の化け物の声だった。