魑魅魍魎の菊
少しだけキョトンしたが、フッと格好良く笑ってくれた鬼さん。本気で惚れそうなんで私を誑かさないで下さい。
「俺は《朱雀門の鬼》のスザクと言う」
「現在は小学校の門を棲んでいらっしゃるのですか?」
「——それは俺の管轄外だな」
(スイマセン、雑なボケかましました!)
軽く後悔する菊花は刑部のツッコミが軽く恋しくなった。ていうか、スザクさん目が笑ってませんよね…。
ゴメンナサイ、余計なことは言いません。
「……い、いや〜…。鬼達の憧れ、朱雀門の鬼さんに逢えてう、嬉しいなー?」
私は左手を押さえながら後ろに一歩ずつ下がって、距離を取るのだ。
これはこれは——古代平安で最も恐れられていた鬼、《朱雀門の鬼》がお出ましとはどういう事よ。
私も文献でしか読んだ事ないし、今まで会ったこともないから…
ちょっと今回は分が悪いかも。
「…現在もたくさんの死体で人間作りをなさっているんですか?」
「このご時世、死体は火葬されるから無理だな」
「ですよねー!!」
なんつう馬鹿なことを聞くのよ菊花!平安時代なら死体なんてゴロゴロしていたに決まっているのに、現代は火葬だってことを何故忘れる?!
刹那、
ヒュンッ!!
——夜空から槍が降って来たのだ。
「…避けたか、」
「ぜ、ぜーはーぜーは——…。び、吃驚した…」
「おい、泣きそうだぞ?」
「違います!心の汗です!」
ていうか、どんなけ焦っているのよ心の汗って!