魑魅魍魎の菊
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いつか"貴方"と結ばれると信じていたのに。そんなのは叶うはずなんてないのにね。
目の前で牙を剥く、狐の化け物の対処に困った。
木漏れ日と非常に似合わないわ。だけれど、黄金の毛皮が光に反射してとても綺麗。
「——千里眼か、全く厄介な狐め」
「儂は天狐だ、舐めるな小娘——やはり生きていたか」
私は麦わら帽子を取って、天狐の翡翠色の瞳を見つめた。
「げっ、私死んだことになっていたの?」
「茶化すな…。あの不自然な消え方、怪しいと睨んだ通りだ」
さすが1000年以上生きて、元神様だけはあるかもしれないね。
「今日は物の怪避けの術を掛けて来たのに、さすがに爪が甘かったか」
菊花は肩を竦めながら下りて来た途中の階段に腰掛けた。そして傍に菊の花束を置いて、小さく上を見上げる。
(……さてさて、面倒くさい展開になってきた)
「——何しに来た、」
「別に御墓参りに来ただけだし、それ以外に理由なんてあるわけ?」
「ふざけるな!!!……貴様、まだ"神狩り"のこと忘れたわけじゃねぇだろうな」
「なはずないじゃん。そっちこそ馬鹿じゃないの?」
私がそう言い放つと天狐は私に飛び乗り、鋭い爪で肩を押した。
「——馬鹿?私は貴方に何回も力を流されてもこうやってピンピンしている、もう効かない——」
「そんなはずはない——傷さえ残っていれば、効果はあったも同然」
この獣め。本当に人間にひれ伏したとは到底思えない。
思えないが、現に春菜さんにメロメロだしなあ……