魑魅魍魎の菊
「高村菊花ぁあああああ!!!!」
ふと、聞き覚えのありすぎる青年の声に反応した私は顔だけを上に向けた。いやはや狐に押し倒されているからね、私。
——そう、玖珂正影君は物凄い剣幕でこちらにやって来たのだ。
「やっほ玖珂っち!!」
「違ぇえええ!!!」
玖珂君は押し倒されている状態の私を見て顔を顰めながら、天狐に退くよう指示をしていた。
ようやく解放の身になった私なわけだが——玖珂君の式神によって捕らえられちゃった☆
「きゃあっ!掴まっちゃった☆」
「ぶっ飛ばすぞこのクソアマ」
「ちょっ——…自分でも気持ち悪いって思ったんだから、冗談よ冗談」
「冗談でもすんじゃねぇよ、あ"ぁ?」
「痛い痛い痛い——!!!ああ、顎を掴まないで!!」
何かギシギシっって言ってるんですけど?!相変わらず玖珂君の愛が痛いわ!
「正影——コイツ、どうするんだ」
「えっと私ストリップとかしないから〜」
「——あ"ぁ?」
「あ、あははは〜…じょ、冗談だよ…」
こ、恐ぇぇええええ!
目が本気だった!私を確実に仕留める眼光だったし!それに何気に拘束を強めたしあの青年!
「地味女の癖にしゃしゃんじゃネェぞ…?」
「い、いつか女性蔑視で訴えてやる…」
「言いたい事があるんだったら、俺の目を見やがれ——」
目が据わってるし、顎を掴まないで欲しいかな——!