魑魅魍魎の菊
萩原君は何が何だか解らないような表情を浮かべ、目を見開かせていた。
僕だってこんな展開になるとは思っていなかった。サラマンダーめ、よくも余計なことを。そんな気持ちを込めて睨むが彼にはどうやら効かなかったようだ。
(——まったく、)
「萩原君。——これは黙っておこうと思っていたけど、どこかの蜥蜴が余計なこと言うから言うよ…」
「どこの蜥蜴だよ」
「テメェだよ!!」
容赦無い龍星の突っ込みが入る。
「もしかしたら僕の情報も、美鈴ちゃん奪還、先輩と玖珂君が仲良くなれるのなら話すよ」
穂積は龍星達と初めて会ったような弱々しい瞳ではなく、しっかりとした意思のある瞳で龍星を見た。逃げ道なんて必要ないんだ。僕は大丈夫なのだから。