魑魅魍魎の菊



僕の力はあってはいけないものなのだ。どうしてだよ、物凄く世の為になる良い能力じゃねぇか。それがそうでもないんだ。玖珂君が言っていたでしょう?玖珂君や菊花先輩が起こす炎や水、風は"ただの現象"でしかない。

その点、僕の能力は意思・魂を持った自然を意のままに操る事ができるんだ。それの何がいけねぇんだ?僕は列記とした人間だ、サラマンダー達は神とも同等の存在、それを操るんだよ?禁忌でしかないんだ。


僕は忌み子。つまり呪われているんだ。異質な力を持っている。おいおい、そんなのどんな基準で決まってるんだよ!!ていうかテメェの親はどうしたんだよ、例えそんな状態だとしても子供をこんな広い家に一人でいさせるのかよ!


怒ってくれる気持ちはとても嬉しいよ。——僕はみんなの力と、自分自身の空気の力を制御できなくてね——





(——みんな、壊しちゃった)


冷静に考えてみて?火・水・風・土——これらを上手に使えば人を簡単に殺しちゃうことだってできる。水や火単体だけじゃなく、風をひたすら起こせば酸素を無くすことだってできる。逆に別の場所で摩擦熱を起こさせて電気を起こす、そこで水でもあれば感電しちゃうよね?僕は使い方を間違っていたんだよ。小さい時はただ無邪気だった。僕は優しい人じゃないんだよ?純粋に虫をばらばらにしたり、虫ピンで刺したり、ひどいことばっかりやっていた——そんなことを人間にだってしようとしたんだよ?

——おいおい、その虫の下りはまあ解らないでもないが。それが、何に繋がるんだよ。簡潔に述べろよ。






(僕ね、お父さんもお母さんもおじいちゃんも殺しかけちゃったんだ)


もう、罪が体の中に巡るんだ。この力のことを嬉しくも思うし消えてしまえば良いとさえ思うときもある。今はそんなことはあんまり考えない様にしているけど——


菊花先輩が現れてから、現状に変化が現れたんだ。


  
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