魑魅魍魎の菊
武神とか七福神の一員だとか…そんな凄いお方が。
夕方に出会ったあの化け狐と同じような危険な香りがする…。
「一百鬼夜行を相手する暇など、無いでしょう…?」
「う"っ…」
「神の仕事とは、そんなにお暇なのですか?」
「こ、小娘よ…。そんな辛辣な瞳でわしを見るでない!」
((図星かよ…))
呆れた表情をする菊花とスザクは小さく溜め息をついた。
まぁ、とにかくだ。私は神など相手にしている暇なんて無いし。ましてや神を七福神や四天王を倒せるだなんて考えていない。
「さぁさぁ!わしの体慣らしに付き合うんじゃ、小娘よ!一百鬼夜行の頭ならば、御主も力を発揮させんか」
毘沙門天は武器の三叉戟を構えながら、確実に菊花を仕留めようとしている。一方菊花は何故か刀を収めてしまった。
「何故刀をしまうのじゃ!」
「クッ——貴様、一体どういうつもりだ」
「私は毘沙門天殿に戦意など抱いていません。無駄な争いなんてしたくない」
この言葉を聞いた瞬間、スザクは自分の中で何かが切れてしまったのを感じた。憎悪にも似た怒り。
「"無駄な争いをしたくない"だと?!戯言を言うのも対外にしろこの外道が!」
——何が無駄な争いだと?
傍若無人に先々に出会う妖怪達を容赦無く滅するのは何処のどいつだ?!
自分のことを棚に上げ、力は無いが思いやりのある妖怪達を殺したのはあの女なんだぞ。
——今更、刀を収めて戦意喪失など——
正影が滅することでもない、
「この俺がここで貴様を滅してやる!!」
俺達の家族に手を出させるなど、許さない。