魑魅魍魎の菊
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俺は井上にこれからしようとしていることを話した。
とらえず、承諾をしてくれた井上の瞳には何か別のものが映っていたが…
それは敢えて考えないことにした。
正しいことが全て救うとは限らない。そんなのは解っている。ただ、最善の策がこれしか見つからないのだ。
(俺には美鈴が必要なんだ)
「……井上、協力してくれ」
「僕も全力でサポートするよ。……ついでにあのホムンクルスもなんとかしたいね」
「…そう、だな」
この世に蔓延る黒煙のような"悪"
そのようなモノに纏われた人物にどのような表情を浮かべればいいのだろうか。
騒然とすればいいのか。笑えばいいのか。同情すればいいのか……
澄み渡る青空を遮るような異質な存在。そのオーラは禍々しい…
(……リュウセイ、)
「おや美鈴。君は一体何を考えているのだ?」
私を膝に乗せているお方は真っ黒な髪を持ち、宝石のような紫の瞳。私の髪を撫で、その三日月のような唇で頬に接吻を落とす。
(リュウセイリュウセイリュウセイ)
あのお日様のような金髪、優しい瞳が恋しい。ただ会いたくて、このお方の向こう側にあの人を探してしまう。