魑魅魍魎の菊
「……まさかまた、"とある派閥"からの仕事とか抜かすんじゃねぇよ」
「……………」
途端に自分の拳が震えるのを感じた。奥歯がカタカタと鳴るのも感じた。
「なんとか言えよ、高村菊花」
「そうよ。だったらどうするわけ……?
………巨大権力に抗えるの?」
菊花の無機質な瞳に一瞬戦いた正影。そして一切感情を含まない一言。
「玖珂家や他の陰陽一家がそれらに対して戦おうが戦わないが私はどうだって良い。私の邪魔させしなければ正直興味なんてない」
「……テメェ、またそんなことを言って。お前のお陰でこっちがどんなけ被害を受けたと思っているんだ!!!」
「結果…大槻様の為になったじゃないの」
そうやって意地汚く笑う菊花を殴りたくなったが、何故か腕が動かない。こいつは絶対に術なんて使えない。
((……来ル))
「青の式神・水龍の舞!!」
俺が青い札を"それ"に投げた。菊花は動けずにただ見つめているだけ。
「きゅう〜きゅうきゅきゅうっ!!!!????」
水龍が……子狐の物の怪を縛り上げていた。
「は、はぁ?狐!!??」
「えっ…ちょ、ちょっと玖珂君の所の狐じゃないの?!」
「俺の所のじゃねぇよ!!こんな小汚い狐!」
「きゅゆ、きゅうきゅう!!!」
取りあえず正影は術を解いた。そして、水に濡れた子狐は何故か正影のところに寄ってきったのだ…。
「れ、麗子しゃまぁぁぁ!!!酷いれす!僕にじゅちゅなんて!」
「俺は息子だ馬鹿野郎ぉぉぉぉ!!」
狐は何故か擬人化をし、正影に抱きついていたのだ。
「……え、何この収集つかない展開…」