魑魅魍魎の菊
「随分と哲学的な話になりましたね」
「人間は考えれば考えるほど"馬鹿"になんだよ。訳がわからないからな、俺は何も考えてないから長く生きられるんだよ」
そもそも根本が違うと感じた龍星であった。
「…だとしたら、これはとんでもない事態になってきたな。実際、誰も高村菊花が完全に消滅したと信じた奴はほぼ居ない」
一度奇妙な復活を遂げ、会うたびにぴんぴんしているような女だからな。
そうだとすると、龍星と穂積の記憶に奇妙なことが引っかかりはじめた。
自分と高村菊花の出逢いは一体どんなものだったのかと…。
龍星は思い返す。
菊花を初めて見たのは、図書館で小さな物の怪を消していた。
そして、出会った蛇の物の怪(つまり美鈴)は高村が庇護している物の怪。
穂積は思い返す。
いじめられていた所を菊花に助けられ、四精霊が司っているブレスレットを返してくれた。
そして、四精霊とホムンクルスと繋がった。
((これを因果と呼ばすになんて呼ぼう――))
「そもそも何故、高村先輩は玖珂先輩と衝突したんですか?」
「魑魅魍魎の主と陰陽師だけじゃないだろう?」
「……巷で悪質な百鬼夜行があると聞きつけてな、それの討伐からだ」
――それじゃあ、それ以前は??