魑魅魍魎の菊


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菊花の瞳が見開かれた。





(――玖珂、義影)

その刻まれた石碑を見た瞬間、記憶の根底から震え上がった。その向こう側には、玖珂正影が仁王立ちする。



「私が話したところで、玖珂君には巨大権力に抗えない」

「馬鹿を言え。俺がルールだ」

「どんなけ上から見下ろしてるの?!びっくりだよ、私!」

「大体、そこの"とある派閥"っつーのは何だ。認めたくはないが、テメェの能力以上に気持ち悪いところかよ」

「失礼だね!ホント!!……私の能力を過大評価しすぎよ。あの組織は時空すら越える、絶対的な存在」



夏の爽やかな風が吹き、二人の髪を揺らす。





「私が"滅した"という神様達は見せかけよ。全部私の"幻術"」

「……見せ掛け、」




正影は瞳を伏せる菊花を見つめながら、奇妙な動悸に襲われた。あの長時間、俺達はたった一人の使う幻術に惑わされていたのか…?


あり得ない。あの長い幻は寧ろ、現実を帯びていた。いや、"現実"になっていた。



「…おい、貴様。魑魅魍魎の主だと言ったな……本山はどこで、先代は何をしている」

「本山?










――そんなものは当の昔に消し去ったわ」



(……巨大な歯車がくるくる回りだす)



 

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