魑魅魍魎の菊
「…どうして鏡子を狙ったんだ、それだけ答えろ」
「だから言ったじゃん…!」
菊花は正影の刀を受け止めながら叫ぶ。手首がそろそろ限界なんですけど——?!
「あの子は遠くない未来に重大な罪を犯すの!犯す前にこの私が滅しようとしただけ!」
「根拠など何処にもないじゃないか?!妖術では未来を知る事でも出来るのかよ!」
「そんなこと出来ないよ!私は全知全能の神じゃないんだし!」
正影の峰打ちをジャンプで避けながら叫ぶ菊花。体が「生気」に犯されて行く。自分の体がなんだか自分じゃないような気がする。
だけど、私だって負けちゃいられないの…。
「"とある筋"からとしか言えないわ…」
菊花がそう呟いた瞬間に背筋が凍り付くような"殺気"に襲われたのだ。
「ふざけんじゃねぇよ!!!」
——ここが貴様の墓場だ!
菊花の体が鈍くなった瞬間、正影は渾身の力で斬りつけようとした瞬間だった。
「ハイ、ストップ」
耳に馬の蹄の音が響くのだった。