魑魅魍魎の菊
「そうです菊花様!!この鴉丸、玖珂の若頭を許せませんぞ?!」
「いやいやいやいやいや…。この戦いは私達の負けだ、帰るわよ」
「「やだやだ菊花のバカ!!僕たちまだまだやれるよ?!」」
ギャーギャーと叫ぶ妖怪達にキレそうだが、押さえろ菊花…お前は理性ある大人だろー?
落ち着け、考えろ。
「黙れ、この魑魅魍魎の主の言葉が聞けないのかお前達!!解らない奴等はこれから一切我が家の出入り禁止の刑に処するわよ?!」
そうすれば所々から不満たらたらだが「…御意」という言葉が聞こえる。その中で蛇骨婆の穏やかな笑い声だけが響く。
「これ以上私のプライドを傷つけさせないで!ほら、解った奴からさっさと帰る!とっとと!」
菊花は刀を収め、痛む肩に顔を歪めながら颯爽と歩き出す。あまりにも誰にも似ていない背中に何とも感情を抱く正影。
「天邪鬼、さっさとお囃子を鳴らす!」
「「は、はい菊花さん!!」」
そして、強がりなのか……この場から早く立ち去りたいのか振り向かずにずんずんと歩く姿を見て小さく笑みを零してしまった俺。
何だか滑稽な姿だな「地味女」。
「…何はともあれ、一件落着ってやつか?」
「終わりよければ全て良しじゃねぇの?」
最後に千影と正影なこんな掛け合いが見られ。正影はアスファルとから「鳳」を抜き、結界を解いた。
その炎も消え去り、一気に闇に成り代わり。月光があまりにも俺達を弱々しく映し出したのだ。
そして、式神を使い街の修繕作業を進めながら——"あの女"の時計を拾い上げた。