魑魅魍魎の菊
それから私は左半身の痛みに堪えながら授業に勤しんだ。植木君から貰ったロリポップは昼休みに食べるとしてだ……昨日の練習試合の後はどうなったのであろうか。
(…植木君助ける為に無意識で"影"使っちゃったしな…)
あのせいで玖珂の若頭に見つかって散々な目に遭ったが、植木君が無事だったんならそれで良い。
チラリと右隣を見れば、眠そうにしながら頑張って授業を受けている姿が見られた。
まぁ、そんな事を考えながらいつの間にか「化学」の授業は終了したのであった。
昨日の百鬼夜行の後の惨状は凄かったし…私はあんなに凄い相手にタンカを切ったらしいのだ。何せあの化け狐の正体が神と同等の力を持つ「天弧」だと鴉丸に聞いた瞬間意識が遠のいたのを覚えている。
おいおい…神に成り下がった妖怪にしては力を持ち過ぎじゃないかと頭を痛めた。そんな強力な妖怪が居たせいか我が百鬼夜行は深い痛手を負ったのだ。
(…あーあ、暫くまともな生活が出来ないかもしれない)
トホホと息をつけば、またもや目の前には刑部君が私の目の前で手をひらひらと振っている姿が…。
「どうなされた刑部氏」
「何者だよ俺。って…それより高村大丈夫なのか?昨日の植ちゃんの武勇伝を伝えようとしたが…」
「あー…大丈夫だよ。ちょっと数多くの正義の味方と戦い過ぎてHPが瀕死状態」
「ゲームのやり過ぎはスルーして事故ったんだなお前」
いやいや、マジで本気何ですけど…。苦笑しながら次の授業の準備をする。
「それより植木君、逆転ホームランしたんだって?聞いたよー」
「おぉ、ありがと」
この情報の伝はやっちではなく、同じクラスの友達から。植木君は爽やかで良い人だからみんなから愛されているもんね…。
(いや…男前オーラって素晴らしい)
「なんだよ高村、知ってたのか?せっかく俺が言おうとしたのにー」
「別に刑部から伝える理由なくね?…ていうか高村、次の移動の時荷物持ってやるよ」
「ありがとう植木君。でも、利枝達に持ってもらうから」
申し訳なさそうに笑った瞬間、丁度チャイムが鳴ったのだ。