魑魅魍魎の菊
ハンデを頂戴
「やぁ、こんにちわ♪」
——バタンッ!!
「待て待て待て…!!押し売りのセールスマンじゃないんだから!!」
「だったらその左足を抜け"地味女"」
「ちょっと?!昨日今日でここに来た私の勇気を讃えなさよ!」
高村菊花は無謀にも——玖珂家に足を運ばせていたのだ。道中様々な妖怪達に攻撃をされたが日中の「影」を使って何とか涼しい顔をしながらやって来た。
まぁ…玖珂家の場所は近所のカラスさん達から聞いたのでカラスさんを攻めないでやって欲しい。
「……何の用だ。俺はお前が先輩だからって"敬語"なんざ使わねぇぞ」
「何気失礼だし!!別にそんな事はどうでも良いから……黙ってこれ受け取りなさい」
ようやく玄関から出て来てくれた玖珂の若頭に私は紙袋を渡したのだ。渋々と受け取る「玖珂の若頭」は恨めしそうな視線で私を凍てつく。
「……何だコレ」
「今こんな現状だから大した者用意出来なかったけど。稲荷寿司とくもり止め、それと笛筒とフルーツの詰め合わせ」
「——何を企んでいる」
「……あの狐と鏡の子とスザクさん、玖珂の物の怪たちに」
正影は怪訝そうに菊花を見つめた。やはり何度見ても地味にしか見えないし、…って転けたのか膝から血が流れ紺色のスカートが汚れている。
(…うちの者に攻撃されたのか、)
そして微かに身内の物の怪の香りがするのだ。
どうしてそこまですんだよ、馬鹿じゃねぇのかこの女。呆れて笑いもでネェよ。