魑魅魍魎の菊


「だが白、お前はよく——惚れた女を守った。格好良かったぞ」



ニカッと笑えば、白は真っ赤に顔を染め上げまるで——おっと、これ以上言ってしまえば怒られてしまうな。



「なっななな、若殿?!」

「照れるなって。男の俺から見ても格好良かったつうの!」



(アンタが言うと冗談に聞こえない!)

白は自分の主人が人間の世界でも物の怪の世界でも綺麗な容姿をしていることに気がついている。

だからこそ、このビューティフルフェイスで言われると照れが現れるのだ。



「何より、鏡子が無事で良かったな!」

「は、はい!」


















「で、何だコレは正影」

スザクは手渡されたものに首を傾げながら、我が主人を見つめた。



「貰ったんだよ笛筒。お前の壊れそうだったの知っていたから」


その笛筒はどうやら桐で作られている上質なものだった。美しい木彫りにそれを彩る色彩、こんなものが一般高校生の手に渡る物なのか。


「…まぁ、礼は言う」

「どうも。で、調子はどうだ?」

「大分楽になった。…すまぬな式神を使わせて」

「別に?怪我してる奴助けるの当然だし」


このぶっきらぼうな優しさに苦笑しつつも、スザクは貰った笛筒を懐の中に入れる。


 
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