魑魅魍魎の菊
「何で?!陰陽師は縁結びも仕事の中に入っているだろう?!」
「仕事に入っているが、俺はその手の仕事を一切引き受けないんで。残念だったな、俺ァ帰る」
俺はリュックを背負い、立ち上がろうと瞬間。
「「——っ!!??」」
凍てつくような"殺気"を感じた。
もしや、これは——……
軽く瞳孔が開いた瞳で窓を見てみれば、《般若》の能面を被った奴が!
「く、玖珂っち……?!ああああ、アレは何!」
正影が振り返ると——そこには、キョトンとした《高村菊花》が立っていたのだ。
「何キョドってるの…"玖珂の若頭"?」
「っ——じ、地味女?!な、何故ここに…」
「失礼な!!地味女は認めるけど、人の顔見た瞬間に挙動不審にならないでよ!!」
…何故だ。確かに般若の能面を被った奴が確かに居たし、あの殺気は《地味女》の物だった…
「……て、テメェ…何を企んでいる?」
「た、企んでいる?私は職員室から帰って来たばっかりで、近道の一年の廊下を通っていたら《玖珂の若頭》こと"玖珂君"が叫んでいたんで来ただけよ?」
女の様子を見てみれば、本当に嘘をついていないのが伺えた…。
何故、般若の能面が…。まぁ、良い。俺はさっさと帰りたいんだ。