魑魅魍魎の菊



「高村……この水、霊力で…」

「ご察しの通り、霊力で清められた水。だけど結界が張ってあるから私には害はない。まずは霊力で加藤さんを綺麗にしなくちゃ!!」



ニカっと笑う顔は——不覚にも普通の女に見えた。だが、普通ではなくぱっとしないような地味な顔立ちだがな。


ていうか、アイツの時計——まだ家にあるし。嫌でもあの女と顔合わせをしなくちゃいけネェのかよ。



(ったく……調子が狂う)









そうこうしていく内に…






「こ、これが俺?!う、うっわ……凄いよ高村さん!」

「エッヘン!さすが私!自分をプロデュース出来なくても、他人なら出来るじゃん!」



「それ、自虐かよ」



そう突っ込めは負のオーラを背負い込み、落ち込んでいる姿が見られた。だが…加藤の姿には見張るものはあったし、何より格好良かった。



「にしても加藤、見てくれは大分良くなったな」

「だって加藤さん、元が良いもの!素材が良かったけど、自分じゃ上手く活かせなかったのね」



加藤の長かった髪は短髪の爽やかな感じになり、産毛も剃って、太かった眉も綺麗に切りそろえられ凛々しい姿になった。

服装もよれよれのTシャツから、夏らしい白と紺色のボーダーラインの入ったポロシャツに細身のジーンズ。


こんな簡素な格好だけで——不覚にも爽やかな年上男性に見えたのだった。



そして染められていない黒髪が清潔さを醸し出しており、高村の"影"の能力と妖術ではこんなことも出来るのかと深く関心した。


 
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