赤い筆箱

そして

人は生きることに理由など要らないと思うし、何ができるとかできないとか、まして人としての価値なんていらないと思う。
そこに在ればいい。それだけで十分なんだと思う。長い間、生きる意味を探し続けた私の見つけた答えは「そこに在ればいい」ということだ。

私の生きている理由があるとするなら最期に目を瞑る時、幸せな人生だったと思える人生を歩みたい、どんな理由であれ私は生きているのだから

私の価値や私が出来ているとか、できていないということは私ではなく周りに居る人たちの決める事だ。「私は価値のある人間だ」なんて自分で言う人が居るならそれはそれで、ある意味尊敬するが、私が思うのは誰かに会ったとき相手を笑わせてあげられたら、それだけでもいい。
 
私は彼女の離婚に伴い、様々な人から様々な虐待を受けた。
暴力・暴言・制限・性的なもの・・・・多分、殆どの虐待は経験した。でも一番悲しかったのは彼女からの虐待だった。
私はある時、彼女を殺すか自分が死ぬ以外に逃れる方法はないと思った。それは彼女が私を殺してしまいそうだったから・・・そこまでギリギリの所で私の心はやっと悲鳴を上げてくれた。それが張り詰た糸の切れたあの日の出来事だ。

もともとの問題は彼女が執拗に私に金銭の無心をすることだった。
なにかと理由をつけては「毎月返済するからなんとかして、お願い」と、しおらしい声で言うのだ。私は自分の許容範囲を超えてもなお彼女にお金を渡し続けた、一体そこに何の意味があるか?
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