甘い香り

†声なき声のマコト




ホールを抜けて、部屋に向かう。

腕を掴まれている感覚はあるけど

特に何も感じなかった。

ロメリアさんのあの表情

仄かに香るバラの香り

だんだん自分の意識がぼんやりしてきて

何にも考えられなくなる…。



「…マミ」



あたしの名前を呼ぶあなたは、だぁれ?

漆黒の髪に深い海のような

サファイアの瞳

見覚えのある部屋に入り

何か白いビンから液体を移す。

そしてあたしの顎に指を滑らせて

口に含んだ何かをあたしに口移しした。



< 121 / 184 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop