甘い香り
それだけ言って踵を返すあの人。
「お…お待ちくださいっ!!」
「…何だ」
「マミ様は…マミ様は、あなた様にとって…何々ですの…?」
冷めた瞳に負けずに、言葉を発した。
どうか大切ではないと、言って下さい。
身の程を弁えさせて下さい…。
「マミは…、」
何故言いづらそうになるのですか?
何でもないんでしょう?
そうでしょう…??
「…マミは俺の大切な人だ」
「嫁に…なさるのですか…」
真っ白な頭でそれだけ尋ねた。
愛しい人…違うと、どうかそう言って下さい…。
「…そのつもりだ」
――俺はマミ以外、嫁にしない。
…すべてが終わった、瞬間だった。
あなたの妻となるために生まれ、育てられ…
それが存在意義だったというのに
「………殺してやる」