甘い香り
「特にない。
だって服とか買ってくれるでしょ?」
「フッ…あぁ、お前の望むもの全て、やる」
ならいらない。
心残りなんてない。
あたしが執着するのは、あたしがあたしでいることだけだから。
「あぁ、言い忘れていたが」
「?」
お綺麗な顔を見上げる。
睫毛なげー…。
不意に首に唇が当たる。
「――ッ!?」
「俺はヴァンパイアだ」
ヴァンパイア…?
て、吸血鬼…。
ズルリ、と何かが入ってきた。