甘い香り
「ロメリアさんと結婚しないの?」
「有り得ないな。
アレのことは忘れろ」
「アレって…まあいいけど、」
「おやすみ」
「…オヤスミ」
そっか、じゃあロメリアさんの恋は叶わないのか…
悲しいなぁ。
せっかくの美男美女なのに。
あ、でも美男美女は続かないんだっけ?
どうだったっけ…。
アスターの髪を撫でる仕草が気持ちよくて、瞼が重くなっていく。
アスターは…好きな人が、いるのかな…。
「あの日出逢ったこと…お前は覚えていないんだな」
アスターの独り言は、闇に溶けて行った。
「て、ゆーことだったよ」
「それはさぁ…やっぱり」
カップを包んだまま、アカシアと顔を見合わせる。