甘い香り
「……何のつもりですか」
感情を押し込めてそう呟いた。
このサファイアの瞳に映るのはただ1人。
――コトネ・ステファノティス
自分の実の父親であり、この世界の王。
普通ならば城に篭って執務をこなしているはずだ。
そのせいで代わりに自分が街を見回っているのだから。
なのにどうして、自分の城にいるのか。
ロメリアの魂胆はわかっているので聞くまでもない。
貴族だからといって通さなくていいと門番に言わなくては。
――マミに近付いて何をするかわからない。
「――例のお嬢さんと話してみたくてね。
ただ、それだけだ」
「……」