甘い香り







「……何のつもりですか」



感情を押し込めてそう呟いた。

このサファイアの瞳に映るのはただ1人。

――コトネ・ステファノティス

自分の実の父親であり、この世界の王。

普通ならば城に篭って執務をこなしているはずだ。

そのせいで代わりに自分が街を見回っているのだから。

なのにどうして、自分の城にいるのか。

ロメリアの魂胆はわかっているので聞くまでもない。

貴族だからといって通さなくていいと門番に言わなくては。

――マミに近付いて何をするかわからない。



「――例のお嬢さんと話してみたくてね。
 ただ、それだけだ」

「……」



< 164 / 184 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop