甘い香り



首を絞められてバラの壁へと押し付けられる。

刺が...っ。



「取り柄もないただのヒトの小娘が、何故あの方のお側にいられる?」

「ぁ...ぐっ、」



長い爪が首に食い込んでる。

まだ手加減してるのか、呼吸は辛うじて出来る。

でも、このままじゃ...っ。



「?...この、香りは」



不意にロメリアさんの整った顔が近付く。



「...ふむ、なるほど」



楽しそうにクスクスと笑うロメリアさん。

ちょっと苦しいけど、今しかない...っ!


ーーーガンッ



「ぃ...っ!」

「げほっ...よっしゃあ!
 そんでもってごめんなさい!」



ほんとは美人さんにこんなことしたくないんだけど、

身の危険を感じるから、あんまり手加減しないよ。

頭突きの痛みに堪えてる間に、鳩尾に拳を叩き込む。



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