甘い香り
ペコリ、と頭を下げると焦げ茶色の猫耳も下がる。
さ、さわりたい…っ。
「ここ、魔界には多種族が共存して生きているのです。
ご主人様は吸血族、魔界で最も地位が高いご身分なのです」
「ご主人様って…」
あの人、だよね。
「着きました」
コンコンッとノックをすると中から聞こえてくる声。
プリムラが失礼致します、と言った。
「…っ」
部屋にはあの人がいた。
豪華な椅子に堂々と座る姿はサマになっていた。