☆★心風★☆
「…っ……コイツ……」



フワッ



鴻上くんの力のこもった声がした直後、私の体がふわりと浮いた――――。



私の視界には、鴻上くんの少し笑った顔。



「…泣いたり笑ったり、忙しいヤツ」



ふう、と溜め息をつくと、鴻上くんは私の顔に、自分の顔を近づけた。



そのとき気づいた、自分の置かれている状況。



私…鴻上くんに、お姫様抱っこされてるっ!



「きゃっ…///」



お互いの鼻と鼻が触れるところまで顔を近づけると、鴻上くんは低い声で呟いた。



「…俺、一応怒ってんですけど」



「…え?」



怒ってるの?

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