☆★心風★☆
涙を必死に堪えているとき







「架村」




あたしを呼ぶ低い声が聞こえた。






「鴻上くん…」





いざ本人を目の前にすると、何を言えばいいかわからなくなる。





鴻上くんはあたしの隣に座ると、黙ってイチゴ・オレを差し出してきた。





「え…」




「いらねぇの?」





冷たい言葉に、あたしは慌ててフルフルと首を横に振った。





「ありがとう……」




こんなときにイチゴ・オレって……嬉しすぎて涙出てきそうだよ。





でもあたし、言うんだ。




鴻上くんとは別れるって。


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