☆★心風★☆
「…架村が俺のこと嫌いでも、俺は好きだから。俺はお前と合ってないなんて思ったこと一度もないし。だから……絶対別れてやんねぇよ」




少し冷たい口調だったけど、今のあたしには十分すぎるくらいだった。





鴻上くん…鴻上くん……鴻上くんっ………



あたしだって、本当は鴻上くんと別れたくないよ。




本音を言えば、鴻上くんからフラれるのが怖くて逃げようとしてた。


でも鴻上くんは、真っ直ぐに素直な気持ちをぶつけてくれた。



自分が恥ずかしい。


醜い。




こんなにも鴻上くんは、あたしのことを想ってくれていたのに。




好きな相手から"合わない"って、別れようって言われたら、あたしだったら絶対心が折れる。




なのに鴻上くんは…。




「鴻上くん…あたしも好きだよ」



あたしも勇気を振り絞って、素直に気持ちをぶつけてみた。



すると鴻上くんは、あたしを抱き締めている腕に力を入れた。




< 307 / 308 >

この作品をシェア

pagetop