鴉《短》
空を見上げると、昨日と同じような、桃色と紫、黄金色が混じった鮮やかな夕空に
鴉が三羽、飛んでいた。
目を細めて、それを見つめる。
彼等がたどり着く先は、どこなのだろう。
ゴミの山か
虫に食われた葉の陰か。
決して明るい未来が約束されているわけでは無いのかも知れない。
帰る場所は永遠に、変えることはできないのかもしれない。
………しかし、思う。
彼等もまた、ひとつひとつの命なのだ。
同じ環境にあるとしても、消えない繋がりがあったとしても。
ただ、ひとつの。
横山の声が、胸に、じわりと温かく染みる。
−…親も所詮、一人の人間。
それなら。
私もまた、一人の人間なのだ。
了