ひまわり〜あたしの心に咲いた花〜
そう言えば、あたしと皋が初めて会ったときも、彼は散歩に来ていたと言っていた。
ただ違うのは、あの日は彼は自分の足で歩いて、看護師に無断で病院を抜け出して散歩に来ていたこと。
今はもう、自分で歩くのも難しくなってきてるんだ。
あれから思えば1ヶ月以上経っている。
時間の流れは早い。
そして、彼が弱っていくのも…
「ねぇ、優里」
不意に皋が口を開いた。
あたしは車椅子を押すのを止め、立ち止まる。
「何?」
すると、皋は少し考え込むように俯いてから、ポツリと言った。
「何で優里は、そんなに悲しそうな顔してるの?」
「……え?」
あたしは思わず固まってしまった。
皋は目が見えないはずだ。
あたしの表情なんか、わかるはずが無いんだ。
なんで、そんなこと──…
「優里は俺が倒れたあの日から、俺と話してても上の空で、心からの笑顔なんて、見せてくれてないんじゃないかな、って思ったんだ」
俺、目が見えない分そういうの敏感だからね、と皋は付け足した。