ひまわり〜あたしの心に咲いた花〜



ひまわり畑の間には人が二人横に並んで歩けるくらいのスペースが迷路みたいに空いてて、あたしはそこを散歩するのが好きだった。

だから今は、皋の車椅子を押しながらそこを歩いていた。


蜜蜂がフワフワ飛んでいて、皋が刺されないように警戒しながらも、その可愛さに頬を緩めていた。


「ひまわりが一杯だ。俺達は今、ひまわりに囲まれてるの?」

「そう。ひまわりのトンネルを歩いてるんだよ」


元気にはしゃぐ皋。


あたしも嬉しくなった。


連れてきて善かった。


たくさんの笑顔を、見ることが出来た。


笑顔は薬だと、聞いたことがあったから。


これで、病気も治ってくれたら───





何度も、そう思ったんだ。







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