ひまわり〜あたしの心に咲いた花〜
あまり連れ出して疲れちゃうといけないから、あたしはひまわりを一周して、病院に戻ることにした。
皋の機嫌も良く、他愛の無い話で盛り上がりながら、あたしは車椅子を押して歩いた。
犬を連れて歩くおばさん。
虫採り網を振り回して駆けていく子供。
店の前で呼び込みをする…あれはバイトかな?
親子で仲良く歩いてく三人組。
──…こんな当たり前の景色も、皋は知らない。
そう思うと、涙が自然に頬を伝って、車椅子に座る皋の頭のてっぺんに落ちた。
「…あれ?なんか頭に落ちたけど…雨かな?」
皋の純粋な子供のような声に、あたしは頷くことすら出来ない。
「………っ…」
なんで……?
何でなの、神さま。
どうして彼ばかりが、こんな目に遇わなくてはいけないの?