ひまわり〜あたしの心に咲いた花〜
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学校に行っても、考えることは皋の事ばかりで、授業で当てられても反応できない事が何度もあって、先生は珍しいものを見るように目を丸くしていた。
それに対してどうこう思うわけじゃないし、寧ろ教師のことなんかどうでも良い。
今あたしの頭の大半を埋めているのは、今頃真っ白な四角い部屋で天井を見上げている、彼のことだけ。
「恋する乙女だね、すっかり」
「……明奈」
彼女とは、あれから仲良くなり、学校でも一緒に居るようになった。
元々は嫌な奴だと思っていたが、それは間違いで、寧ろ世間一般から見れば、あたしが嫌な奴だったのだろう。
「また、皋君のこと考えてるの?」
「…ん。頭から離れなくてさ」
本当なら、学校なんか行かないで、病院に直行したい気分だけど、皋はそれを望んでない。
あたしがきちんと友達を作って、学校生活を送っていく事を望んでる。
「ひまわり畑に、行ってきたんだって?」
「うん。喜んでくれたよ」
「そっか。パパもね、優里ちゃんには感謝してるって」
「なんて?」
「ん、優里が居なければ、皋君は狭い病室で1人で過ごすことになったろうからって」
…なんて、淋しいこと。
明奈も、目を伏せた。