ひまわり〜あたしの心に咲いた花〜






学校に行っても、考えることは皋の事ばかりで、授業で当てられても反応できない事が何度もあって、先生は珍しいものを見るように目を丸くしていた。

それに対してどうこう思うわけじゃないし、寧ろ教師のことなんかどうでも良い。


今あたしの頭の大半を埋めているのは、今頃真っ白な四角い部屋で天井を見上げている、彼のことだけ。


「恋する乙女だね、すっかり」

「……明奈」


彼女とは、あれから仲良くなり、学校でも一緒に居るようになった。

元々は嫌な奴だと思っていたが、それは間違いで、寧ろ世間一般から見れば、あたしが嫌な奴だったのだろう。


「また、皋君のこと考えてるの?」

「…ん。頭から離れなくてさ」


本当なら、学校なんか行かないで、病院に直行したい気分だけど、皋はそれを望んでない。

あたしがきちんと友達を作って、学校生活を送っていく事を望んでる。


「ひまわり畑に、行ってきたんだって?」

「うん。喜んでくれたよ」

「そっか。パパもね、優里ちゃんには感謝してるって」

「なんて?」

「ん、優里が居なければ、皋君は狭い病室で1人で過ごすことになったろうからって」


…なんて、淋しいこと。


明奈も、目を伏せた。







< 67 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop