ひまわり〜あたしの心に咲いた花〜
………
その笑顔に、精一杯手を伸ばした後、あたしは急に目を覚ました。
何の前触れもなく目を開き、思わず飛び起きたとき、背中が鈍く痛むのを感じた。
…どうやら、長椅子の上で眠っていたらしく、カーディガンのようなものがあたしの体からスルスルと滑り落ちた。
「ずいぶん眠っていたようだけど………」
カーディガンを拾い上げたあたしに、そう声を掛けた人が居た。顔を上げると、其処にはいつかの看護師が居る。
「皋君、一命は取り留めたわ。まだICUからは出て来ないけど」
「そうですか……良かった…」
あたしは胸を撫で下ろした。
そこで、はたと気が付いて、あたしはカーディガンをその看護師に返した。
確かこれは、彼女が勤務中にいつも着ていたものだったような気がした。
「ああ、ありがとう」
彼女は微笑んだ。