ひまわり〜あたしの心に咲いた花〜
そこで、廊下の方から明奈がてくてくと歩いてきた。両手にぶら下がった売店の袋には、おにぎりと何か飲み物のペットボトルが覗いている。
「あぁ、おはよー優里。昨日寝てないみたいだったからさ。良く眠れた?」
明奈はあたしに袋を差し出しながら尋ねる。あたしは頷いた。
「うん。仮眠くらいにはなったかな…」
「そっか。良かった。あ、皋君だけどさ。ガラス越しでしか見れないんだけど、様子見にいこうか?」
「え…」
彼女の言葉にあたしは迷ってしまった。
勿論会いたい。
会うというよりは、あたしが一方的に彼を見るだけだが。
だけど、あたしは何となくそれが怖かった。
理由はわからないし、会いたいのには間違いないのに。
すぐに頷けないあたしが、確かに其処に居た。
「優里……?」
「あ、ううん。大丈夫。行こう」
明奈が不思議そうに首を傾げたので、あたしは慌てて立ち上がり、そう言った。
それが精一杯だった。